2009年10月23日金曜日

日本航空(9205) その2

今回のリストラに伴い、相応の子会社・関係会社持分及び資産の売却を行う事になると思います。
開示情報ベースという制限付ではありますが、どの程度の売却資産がありうるかについて、考えてみたいと思います。(もっとも大半の資産は借入金の担保となっていますので、自由に使える現金ではありませんが。)

1.不動産資産
事業の性格を考えると、かなりの資産が飛行場近辺の立地であり、あまり一般的に資産性を認めにくいと考えられます。保有不動産を眺めていて唯一目に付くのは、本社事業所として東京都品川区に保有する簿価1150億円の土地・建物です。この資産を仮に簿価譲渡し7%のグロス賃料で賃借し続ければ、年間81億円の家賃と引き換えになりますが、相当な現金を作り出す事が出来そうです。ただし、本業の収益力の回復が無いと、物件の売却は実行しにくいと思います。

2.飛行機
日本航空は166機、簿価で7235億円の機体と部品を保有しています。仮に簿価25億円未満の66機(簿価635億円)を売却するとして、仮に半値で売れたと想定するなら、317億円の現金を作り出せそうです。

3.子会社・関係会社株式
上場会社は航空施設(8864)、JALUX(2729)、エージーピー(9377)の三社で、時価で107億円相当。
また、未上場会社ですが;
JALホテルズ:
フリーキャッシュフロー875百万円、ネット有利子負債336百万円、割引率7%想定で株式価値131億円
TFK:
当期利益500百万円、PER15倍、無借金の想定で株式価値75億円
JALカード:
当期利益20億円、PER15倍、無借金の想定で株式価値300億円
ジャルツアーズ+ジャルパック:
合計売上高2583億円、無借金想定で株価売上高倍率を同業のHIS(9603)の0.18倍と想定し、株式価値472億円
航空貨物部門:
現在日本郵船と事業統合を協議中。売上高1998億円、同業の郵船航空サービス(9370)と近鉄エクスプレス(9375)の株価売上高倍率の0.3倍と想定し、株式価値は598億円。(ただし、連結外になる事は回避すると思われるため、49%持分を郵船に第三者割り当て増資すると想定し、294億円の現金を得ると思われる)

未公開会社については基本的に情報が無いため、非常に大雑把な推定となりますが、子会社売却でも結構な現金を手にする可能性があるようです。実際にはどこまで売却するべきかの議論が先にあるでしょうから、ここまで気前良く売却が進行するとは思いませんが、同業企業は注目しているのではないでしょうか。

日航、子会社の「JALホテルズ」売却検討
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091019-00000673-yom-bus_all

JALカード株式の売却検討~専門家チーム
http://www.news24.jp/articles/2009/10/14/06145741.html

<日本航空>大型機数十機を処分 タスクフォースが検討
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091017-00000005-mai-bus_all

0 件のコメント:

コメントを投稿