2009年10月21日水曜日

サンリオ(8136)優先株について

今朝日経のHPで、表題株式の償却が行われないため株式の希薄化リスクがある、旨の記事を見かけました。(ただし、今サイトを探しても出てきません。消してしまったのか?)
もう、4年も前に行われた資本増強策で、普通株式に併せてA,B2種類の種類株が発行され、A種は既に転換が完了しているのですが、B種の転換が平成22年3月23日から可能になるようです。

発行額は100億円で割当先は東京三菱銀行、みずほコーポレート銀行にそれぞれ90万株、10万株となってますので、発行体の意向に沿わない形で処分することは無いでしょう。
サンリオは当初転換可能になる前に強制償還を行うつもりだったようですが、21年6月の決算説明では、断念した旨が記載されています。直近の業績などを考えればやむを得ないでしょう。

サンリオの財務データを見ると(以下すべて21年3月31日ベース)、有利子負債残高は323億円になりますが、手元現預金、投資有価証券(上場株式と債券で換金性は高い)が197億円ありますから、少なめに見積もっても174億円程度の現金があると考えてよいと思います。よってネットデットは169億円。一方、来期予想営業利益が65億円に毎期の減価償却費が15億円程度ありますので、EBITDAは80億円。銀行はネットデット/EBITDA比率を4倍から5倍は許容するでしょうから、まだまだ借入余力はありそうです。(実際に貸すかはわかりませんが)

仮に優先株主が転換行使すると、111億円分(=100億円/直近平均株価の90%)の株式が発生しますが、これはおよそ28週分の出来高(=111億円/4億円)に相当します。当然相当な株価への影響が懸念されますが、上記2行は共にサンリオの大株主で、株価下落は避けたいでしょうし、またこの優先株式は配当が5%近く支払われる(=4%+6ヶ月TIBOR)ので、優先株主は継続保有で満足だと思われます。

あとは、サンリオ自身が5%近いコストを嫌がって、さらに借入をした上で買入償却を行うか?ということになりますが、21年3月以降3年間で143億円の既存債務の返済が迫っており、また現下の経済環境で現金残高を減らす事を良しとする心情にはなりにくいと思います。

というわけで、新聞記事の憶測通りの展開にはならないのではないかと思います。ただし今後、株価が回復基調になった際、優先株の存在が「重し」になる事は間違いないでしょう。

第三者割当増資(普通株式・優先株式)に関するお知らせ
http://www.sanrio.co.jp/corporate/ir/disclosure/detail/45_0209.pdf

優先株式の強制償還に関するお知らせ
http://www.sanrio.co.jp/corporate/ir/disclosure/detail/49_0529_1.html

株式会社サンリオ第49期決算説明会資料
http://www.sanrio.co.jp/corporate/ir/result/detail/49_fin_briefing.pdf

サンリオ、優先株消却を事実上撤回。(2009/6/13)

http://company.nikkei.co.jp/news/news.aspx?scode=8136&NewsItemID=20090613NKM0042&type=2

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